1.山形市の公共交通の展望について
2.除雪対策について
3.観光振興の展望について
4.DXの推進について
5.子育て支援について
6.主要道路・交差点の愛称について
7.その他
初めに、このたび4月に行われました山形市議会議員選挙におきまして、市民の皆様からの温かい御支援・御支持を賜りまして初当選をさせていただきました。この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。
コロナ禍を経験し、生活ががらりと変わってしまった方も多くいらっしゃる中で、皆が前を向いて生活している世の中ではございますが、絶えず変わっていく時代の変化に対応した取組が必要です。市民目線、若者目線で、よりよい市政に出発進行していくため、精いっぱい尽力してまいります。
また、このたびの定例会におきまして、一般質問の機会をいただきました新翔会の皆様に御礼を申し上げます。
それでは、通告に従いまして順次質問させていただきます。
初めに、山形市の公共交通の展望についてお伺いいたします。
1点目は、奥羽本線への新駅開業についてです。
令和2年11月27日に、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律が施行されました。これを受け山形市では、令和3年3月に山形市地域公共交通計画が策定されました。5年間の取組として、将来のまちづくりを支える公共交通ネットワークビジョンが掲げられております。
鉄道の駅においても、大骨格として二次交通と結ぶ、いわゆるターミナルとしての役割があるかと思います。交通計画でも触れられておりますが、JR山形駅と蔵王駅の中間付近の区間は、人口集積地区でありながら公共交通の利便性が低いと感じております。
ほかの自治体では、山形・蔵王間と同程度の距離があり、町の規模や沿線状況に類似点があるところで、路線の中間駅として、JR東日本の自治体請願駅が新設されたケースもございます。
2017年には、福島県郡山市の郡山駅の隣に郡山富田駅が開業、2021年には秋田県秋田市、秋田駅の隣に泉外旭川駅が開業、そして今年2023年には岩手県盛岡市、盛岡駅の隣に前潟駅が開業しております。
これらの駅は、いずれもJR東日本の中心駅から一つ隣の駅であり、そして路線開業時と比べて沿線が発達し、人口密集地域になった場所に開業しております。駅の総事業費は、郡山富田駅が約20億円、前潟駅が約11億円、泉外旭川駅は約20億円となっていて、基本的には所在する市が負担する請願駅となっております。
駅開業を考える際に、地域の利便性という目線から少し離れると、インフラの存続、そして新規居住者という2点の課題が浮かび上がってきます。鉄道にしてもバスにしても利便性を求めると同時に、持続可能な運営方法を取らなければなりません。簡単に言えば、利用者数の確保の問題です。
そのために、既存の住民の利用だけでなく、これから鉄道利用を前提とした世帯の転入を促進することが必要となってまいります。これには、駅周辺にマンション等の大型集合住宅を建てることで居住者数の確保、さらには下の階に商業施設が入ることで、限られた土地の有効活用が望めるかと考えられますが、いかがでしょうか。
また、駅については、見込まれる利用者数や運行本数の事情から、無人駅が現実的かと思われますが、JR東日本主導ではなく、自治体の請願駅であることを生かして、鉄道利用としての機能のほかに商業的な活用も見込み、鉄道利用者だけでなく近隣の住民も駅を利用することで、無人駅が抱える治安面の課題についても解決が期待できます。
駅は、鉄道を利用するときだけ訪れる場所というイメージを払拭し、町のターミナルであり、多くの市民が訪れる中心地にするべきです。こうした駅舎に商業施設の設置、周辺に大型集合住宅の建設により、駅を中心とした地域の活性化が期待できると思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。
続いて2つ目、MaaSの浸透についてお伺いいたします。
MaaSとはMobility as a Serviceの略で、直訳するとサービスとしての移動という意味になります。近年、様々な領域に広がり続けておりますが、交通の意味合いとすれば、いろいろな種類の交通サービスを組み合せて目的地までの行き方を最適化、さらに予約・決済まで一括で行えるサービスといった意味になるかと思います。
もともとの目的は利便性向上ですが、それだけでなく、都市部の交通の混雑の解消、過疎地域や高齢者など交通弱者対策といった様々な問題解決に効果があると期待されております。
山形市においても、先に挙げた山形市地域公共交通計画において触れられており、日常利用のほか、後ほど詳しく質問させていただきますが、観光分野での活用も期待されております。
山形市は、車がないと訪れるのが難しい場所がいまだに多いように感じておりますが、山形市には、魅力の一つである評判のラーメン屋を目指して訪れる方も少なくはありません。そんな中、遠方からの旅行客ほど自家用車での来訪が困難であり、海外からとなれば実質不可能であります。
今はまだ、全国的にもMaaSは先駆けであり、浸透している地域は多くはないかと思います。しかし、交通系の企業を中心にMaaSの普及に取り組んでおり、試験段階として著名な観光地がモデルとして採用されております。いずれ定番となるであろうMaaSに対して、山形市も取り残されないために、今後の計画と最終的にはどのようなシーンでの利活用を目指しているのか、お伺いをいたします。
以上で壇上での質問を終わります。
(佐藤孝弘市長)
安久津優議員の御質問にお答えいたします。
まず、新駅についてでございます。
山形市では、令和3年3月に策定した山形市地域公共交通計画において、市南部の主要な交通結節点として新駅を位置づけ、新駅の設置に向けた調査・検討、JR東日本との意見交換や勉強会を実施しております。
昨年度に山形市が実施した、現況における新駅の利用者数予測などの調査結果や評価について、今年度さらに精度を高め、内容を充実させるために、今定例会の補正予算に調査委託費の提案をさせていただいております。
山形市としては、可能な限り早期の設置を目指しており、議員御提案の駅内や周辺地区への機能拡大なども含め、駅利用者の確保に向け、他都市の先行事例も参考にしながら、引き続き調査・検討やJR東日本との意見交換を進めてまいります。
次に、MaaSの浸透と観光利用についてでございます。
山形市では、令和4年3月に山形市MaaS導入方針を策定し、これまでコンソーシアムの設立、MaaS運用の基盤となるプラットフォームの構築、やまがたMaaS「らくのる」としてポータルサイトの開設、路線バスとベニちゃんバスの1日乗り放題電子チケットの販売、また、電子チケットへの割引クーポンの付与などの取組を進めております。
今年度は、国のデジタル田園都市国家構想交付金を活用し、既存の路線バスやベニちゃんバスに加え、タクシーやコミュニティサイクルなどを組み合せた電子チケットを導入、「らくのる」のポータルサイトにデジタルマップの追加などサービスを拡充する予定であり、関係予算を今定例会に提案しております。
「らくのる」につきましては、最終的に市内公共交通をデジタル上で統合し、検索、予約、決済等を一括でシームレスに利用することができる、利便性の高い公共交通サービスの提供を目指しております。
これにより、市民の皆様の日常生活などでの移動や、山形市に来訪される皆様の観光目的などでの移動に係る不安の解消と負担の軽減を図るとともに、公共交通のさらなる利用促進につなげてまいります。
議員御提案のラーメン店を例にしますと、らくのるにより、希望するお店までのルート検索と実際の公共交通での移動が楽になり、さらに、クーポンなどの特典が使えるといった利用者目線での利便性向上を図りたいと考えております。
こうした取組を重ね、これまでロードサイドに偏りがちであった出店から、公共交通の利便性の高いエリアへ出店がシフトし、市民、観光客及び出店者それぞれにメリットが享受され、山形市の魅力向上につながる、そうした方向を目指してまいりたいと考えております。
新駅の開業による利便性の向上だけでなく、利用者数を確保し、インフラとして持続させていくことが重要です。これから需要予測や整備効果の検証がなされていくかと思いますが、引き続きの調査をお願いいたします。
また、MaaSの実現につきまして再度質問させていただきます。
御回答の中で、基本となるプラットフォームの構築という内容がございましたが、MaaSの実現のために一番のネックとなるのは乗換えであるかと思います。都市部では、豊富な運行本数があるからこそ実現できるという側面があります。しかし、現状の山形市の交通網につきましては、MaaSの効果が十分に発揮できない可能性があるかと思います。
それに対して本数を増やしていくのか、それとも本数の少なさを補うために、パターンダイヤという毎時の固定時間に運行することで乗換えを改善するというものがございますが、そうしたことでMaaSの実現をするのか、山形市の方針をお伺いしたいと思います。
(佐藤孝弘市長)
公共交通の本数と利用者数、これは鶏と卵のような関係がございまして、これまで本数が少なくて、便数が減って利用者数がさらに減るといった縮小のスパイラルのような形で来たわけでございますけれども。ただ、いきなり便数を増やすのもなかなか難しいと思いますので、まずは議員御指摘のような手法など、様々な形で分かりやすく、そして時間的な接続も、しっかり鉄道とバスなどが連動する、そうした形をできる限り事業者の皆さんと協力しながらつくり上げていく、これが現実的なことだろうと思います。そうしたことで利用が増えれば、またさらに本数も増やす余地が出てくるという関係かと思いますので、そうした努力を重ねていきたいと思いますし、その手法についてはしっかりと検討しながら、研究しながら進めていきたいと思います。
続いて、2つ目の除雪対策について質問いたします。
初めに、冬期間に早朝より道路除雪を行ってくださる事業者の皆様に感謝申し上げます。
雪の多い地域において、除雪は長らくの課題であり、頻繁に交通網が麻痺してしまうという状況が発生いたします。様々な自治体が、除雪方法の改善に向けて取り組んでいるところではありますが、山形市においては、かき分け除雪という、積雪を道路の両脇に寄せる除雪方法が採用されております。
道路の中心部分の積雪をほぼ取り除ける利点がある一方で、家の間口に寄せられた雪の処理は住民それぞれが行うため、特に体力のない高齢者には負担が大きく、病院や買物などへの外出が困難になってしまう例も見られます。
中には、除雪車が来ると夜中でも家の外に出て、家の前に雪を置かないでくれとお願いする方もおられます。除雪車が来ないとたくさんの市民が困りますが、除雪車が来ても困る、こうした状況は避けたいと思っております。今後も高齢者世帯数の増加が見込まれ、間口の除雪を負担に感じる人も増加することが予想されます。
これに対する除雪方法としては、北海道札幌市が令和元年度から、将来にわたり持続可能な雪対策に向けた取組の一つとして、一部地域で試験的に行っている新たな除雪方法がございます。
圧雪除雪という路面の積雪を踏み固める作業で、除雪後に寄せられる雪の量が減り、ある程度間口を避けて、影響が少ない場所におけることが期待されています。また、住民の負担軽減により、除雪事業者や市役所に寄せられるクレームの減少も期待できます。
ただし、この除雪方法にも一長一短があり、新しい雪が積もった翌朝には一時的に歩きにくくなったり、道路脇の雪山はこれまでより高くなることが想定されます。
先の札幌市の取組でも試行されている段階であり、明確な答えは出ていない状況です。しかし、札幌市と山形市の積雪量は異なります。
モニターを御覧ください。
〔議場のディスプレーに画像を映す〕
こちらは、気象庁による主な都市別の累積積雪量データです。これは令和3年度のものになりますが、赤枠で囲まれている右側の山形市が累計385センチメートルなのに対し、左側の札幌市は475センチメートルに上ります。また、暖冬となった令和4年度についても、現在出ているデータでは、山形市が累計223センチメートルに対して、札幌市は389センチメートルと、積雪量に一定の差が出ています。
圧雪除雪は積雪量が少ないほど効果が発揮されるものと考えられるため、山形市でも地域を指定した上で試験的に行ってみてはいかがでしょうか、市長の御所見をお伺いいたします。
続いて、(2)の除雪ボランティアの設立についてお伺いいたします。
山形市では、高齢者及び障がい者の中で雪かき支援が必要な方に対して、生活支援コーディネーターが地域包括支援センターと連携し、つないでいく支援があります。しかし、相談のためには幾つか要件があるため、高齢者でも全員が利用できるわけではありません。
そうした中で、除雪中に死傷事故が発生してしまったり、体力的に満足に除雪ができず、外出を諦めてしまう高齢者がいらっしゃいます。今後さらに、そうした方は増加していくものと予想されます。
福島県会津若松市では、間口除雪を行うためのボランティア組織に対し活動助成金を交付しており、市内全域をカバーできる組織体となっています。担い手としては、個人や企業、団体となっていて、ボランティア組織に登録した個人には入浴施設の無料券等が、さらに活動に参加した場合には、スーパーの商品券等と交換できるポイントを受け取ることができるシステムとなっています。
本市も会津若松市を参考に、除雪のためのボランティア組織立ち上げを図り、冬期間を通して市内の高齢者が継続的に利用できるよう、助成により組織の活動を支援するとともに、多くのボランティアが集まるよう、参加者にはポイントなどの特典がある仕組みを整えてはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
(佐藤孝弘市長)
まず、道路の除雪でございます。
御質問の圧雪除雪につきましては、専用の重機を用いた除雪方法で、札幌市の一部地域の住宅街において令和元年度から試行されております。御質問を受けまして、札幌市にも確認をしてみたところであります。
この方法は、道路脇に雪を寄せないために除雪時の寄せ雪は少なくなりますが、圧雪により道路と民地に段差が生じ出入りしにくくなることや、気温上昇に伴い、圧雪が解け、道路がザク雪となり、路面整正除雪が必要となるなどの課題もあることを伺いました。
先ほど御紹介のあった山形市の積雪量あるいは気象の状況、気温などがかなり重要な要素のようでありますが、こうしたことを考えると、より検討が必要なことであろうと考えております。また、札幌市あるいは札幌市民の評価もまだ定まっていない状況でございました。
今後、雪かきの負担軽減が図られる除雪方法の在り方につきましては、様々な手法を含め、引き続き調査研究を行ってまいりたいと思います。
次に、除雪ボランティアについてでございます。
山形市では、高齢者の閉じ籠もりを防止し、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、地域における支え合いを推進しております。
高齢者の雪かきに関する相談への対応といたしましては、高齢者の総合相談窓口である地域包括支援センターが生活支援コーディネーターと連携し、山形市内の中高生、NPO法人、企業、地域などが行う雪かきボランティア等の情報を把握し、雪かきを必要とする方の状況に合わせた支援のマッチングを行っております。今後、それへの支援として、SUKSK(スクスク)ポイントの付与などの検討も行ってまいります。
一方で、地区によりましては、雪かきボランティアを行う団体の数にばらつきがあることが課題となっております。高齢者の皆様が、冬期間安全・安心に生活することができるよう、市内各地区で雪かきボランティアを行う団体を立ち上げるための、より効果的な取組を検討してまいります。
認識について再度質問いたします。現在、山形市内で自力での除雪が困難な方の数の把握、そして、既存の制度でそれがカバーできているとの認識があるのかどうか、再度お伺いをいたします。
(伊藤林也都市整備部長)
現在、除雪作業によって、高齢者の方あるいは応援を求める方についての実際の把握という部分はカウントしてございませんが、ただ、地域によって連絡いただける方々の場所、この特定はいたしております。
現在、一斉除雪に入った場合については、東西南北各方面のパトロールを行いながら、もちろん苦情等の電話あるいは問合せがあった場合については、即時対応させていただいているような状況でございます。
3つ目に、観光展望についてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症は、今年、2023年5月8日から5類感染症に移行し、観光業界にも明るい兆しが見えてまいりました。山形市外、県外だけでなく、海外からのインバウンド需要も回復が見込まれます。
その中で、山形市として、海外からお越しの観光客は、どのような経緯で山形市の情報を得ていると分析しているのか、そして、どのような層をターゲットに誘致を行っているのかお尋ねいたします。
まず、前提として、海外から日本にお越しの観光客が、東京都や京都府といった定番観光地でなく東北を選び、まして東北の中でも、宮城県仙台市ではなく山形市を選んで来ていただいている時点で、日本に対して一定の興味・関心があったり、何回目かの来日であることが予想されます。
観光庁が、外国人観光案内所を訪問した外国人旅行者に、旅行中困ったことについてのアンケートを行った調査結果を公表しています。日本に訪れたのが何度目かという記載はございませんが、アンケートにおいて困っている項目の多くは、無料の公衆無線LAN環境や両替、公共交通、コミュニケーションについてでございました。逆に、多くなりそうなイメージのある、目的地についてや各種チケットの入手等については、選択する方が多くありませんでした。
明確に断言することはできませんが、日本に来ている時点で宿泊地や行く場所は既に決めていて、あとはそこまでの行き方であったり、スマホで調べるときのネット環境に不安を持っていることが分かります。そうであるならば、行き先として山形市を選んでもらうためには、日本に来る前、その方が日本に興味を持った段階であり、紙媒体よりは、海外に発信するためにインターネット上の広報が妥当かと思われます。
アクセスに難のある地域でも、自国の有名なユーチューバー等の影響により、あえて地方を選択するという事例もあることから、今後の効果的なPRにはSNSの活用も重要かと考えますが、外国人観光客から山形市を旅行先に選んでもらうために、市としてどのように取り組んでいくのでしょうか、お伺いいたします。
(佐藤孝弘市長)
御指摘のとおり、外国人観光客につきましては、事前に情報収集を行った上で訪日しているものと考えております。そのため、インバウンド誘客推進強化事業として、現在、重点的に取り組んでおりますオーストラリアをターゲットとした調査の中で、欧米を含む英語圏全域における蔵王に関するSNS分析を実施しております。
その結果の一例を御紹介しますと、英語圏全域ではSNS利用者全体の55%がツイッターで話題になっていたのに対し、オーストラリアにおいてはツイッターが僅か8%で、その代わりにフォーラムと呼ばれるインターネットコミュニティが73%を占めておりました。さらに、そのうち9割以上がSki.cоmというスキー場のレビューサイトとなっておりました。また、蔵王単独ではなく、他の観光地も合わせた周遊需要が強いことも判明いたしました。
こうした分析結果により、SNSを活用したプロモーションを行う場合の戦略が一定程度見えてきたところでございます。
外国人観光客に選ばれる観光地となるためには、効果的なプロモーションを実施することが重要であると認識しておりますので、その手法の一つとしてSNSを有効に活用できるよう取り組んでまいります。
また、こうした分析はまだ始めたばかりでありますので、この分析自体についてもより精度を上げるなり、また、ほかのオーストラリア以外の国についても分析するなりといった取組も今後進めてまいりたいと思います。
さきに申し上げた観光庁のアンケートでは、観光地に来てからの過ごし方については、困っている人は多くありませんでした。これは、看板の多言語化やトイレ等のピクトグラムサインの付与など、行政の努力のたまものであると感じております。
今後も、山形市に訪れた観光客の方が不自由なく過ごせるよう整備をしていただきたいですし、そうした努力が山形市の評判アップにつながり、目的地として結果的に山形市を選択していただけるようになるものと信じております。
続いて、4つ目の質問に移ります。
これまでの定例会でも多くの議員がデジタルトランスフォーメーション(DX)について言及しています。これは、デジタル技術を誰もが安心して使いこなせることを目指すものでありますが、多くの方が重要な課題として捉えており、国が推し進めるDXにより、社会がさらに便利になっていくものと期待しています。
一方で、高齢者の方を中心にスマートフォン等のデジタル機器に不慣れなケースも多く、変革から取り残されてしまう懸念もあります。いかにしてデジタル機器に慣れ親しんでもらうかが今後の課題になってくるかと思います。
この課題は以前より言われておりますが、私は、根本にあるのは操作を習得する機会が不足しているものだと捉えております。どういうことかと言いますと、自動車の運転に例えると、自動車学校に来た学生が、いきなりバックで駐車をしろと言われている状態です。ハンドルの切り方はおろか、真っすぐに進むことさえままならないという、運転の基本が分からない中で応用を求められております。
話を戻すと、スマートフォンの操作においても、文字の入力やマナーモード設定の仕方といった基本もままならない中、アプリのダウンロードやクレジット決済といった応用の操作は難しいものがあります。結果、分からないからスマホはもういいやと諦めにつながってしまいます。
山形市で発行したプレミアム付電子商品券ベニpayは、主目的はコロナ禍における地域経済の活性化でありました。電子商品券ということで、原則スマートフォンを操作できないと購入できないようになっておりましたが、プレミアム付ということもあり、高齢者にとっても、スマホによるキャッシュレス決済を意欲的に始めるきっかけになったかと思います。
スマートフォンの操作ができない人に優しくないという声もあったかと伺っておりますが、先ほどから例に挙げている自動車の運転と同じぐらい、いや、それ以上に生活になくてはならないアイテムとなっておりますし、これから先、もっとスマホの役割が大きくなるものと言われております。
ベニpayのような電子商品券が発売されるに当たって、操作を手助けする会場が設定されることも増えてきましたが、その場で係員に操作してもらって終わりでは、スマホの操作習得における根本的な解決には至っておりません。
車の運転にしても生活になくてはならないものであり、難しいから諦めるということにはなりません。しかし、運転の練習をして運転が楽しい、車は便利だということに気づくと、どんどん練習を重ね、応用が利くようになってまいります。ベニpayはそういった意味で、スマホを学ぶきっかけとしてすばらしいものであったと感じております。
このように特典を設けながら、スマートフォンの操作のようなデジタル技術を浸透させる取組は効果的であると考えますが、DXを推進するに当たり、山形市として今後はどのように取り組む考えでしょうか、市長の御所見をお伺いいたします。
(佐藤孝弘市長)
DXの推進についてでございますが、議員御指摘のとおり、ベニpayの取組によりまして、スマホによるキャッシュレス決済について一定の普及が図られたものと捉えております。
また、SUKSK(スクスク)アプリもポイント獲得により記念品抽せんに参加でき、アプリ利用の動機づけの一つとなっております。
やまがたMaaS「らくのる」においても、電子チケット購入者にラーメン店の割引クーポン等を特典として付与しており、今後、対象店舗を拡大していきたいと考えております。
今後も、スマートシティ推進基本計画に基づく取組を進める中で、市民向けのサービスを行う場合は、利用される方への特典について検討してまいります。
加えて、高齢者へのデジタル機器利用の普及に向けて、公民館やコミュニティセンター、携帯ショップでのスマートフォン教室の開催などに取り組んでまいりたいと思います。
私も高齢者の方から様々なお声をいただいておりますが、スマホの操作について市の補助等を利用して操作習得を図った方は、最初は怖かったけれど、支払いの際に端数も残らず支払えるから、細かいお金を探しながら現金で支払うよりも速い、また、プレミアム付でお得だったと、このような声も聞こえてきております。
スマホについても基本を覚え、ルールを守ることでとても便利なものになります。数年前は普及していなかった電子決済、また、アプリについても主流になりつつあります。取り返しがつかなくなる前に、スマホの操作を学習する機会を設けるべきかと思います。引き続きの御検討をお願いいたします。
続きまして、5番目に、子育て支援におけるSNSでの支援制度の周知について質問いたします。
出産時に受給できる出産育児一時金等の助成金や、子育てをしていく上で便利な制度は数多く、国、県、市それぞれの取組について、冊子やパンフレット等で周知していることと思います。しかし、受給可能な期間を過ぎてから助成金の存在に気づいたり、また、子育てに関する有用な制度を知らなかったという声もございます。
支援の内容は、自治体ごとにまちまちではありますが、山形市も様々な子育て支援があり、例えば子供用眼鏡。これは視力矯正用ではなく、治療用の眼鏡に限られるなど条件はございますが、医師の判断と市の審査を通れば、保険と市からの助成金が支払われます。また、就業支援として、経済的にお困りの児童・生徒の保護者の方を対象に、小中学校でかかる費用の一部を援助する、そうした制度もございます。
こうした支援があるにもかかわらず、肝心の当事者は、子の出生時には手続等の身の回りのことで精いっぱいで、育児にも追われている中、支援制度に自分が該当するのか調べて申請に行く、そうした余裕がある人はそう多くありません。
そして、申請のタイミングとしても、子供が生まれてから何日以内などといった期限があり、周りに助言をしてくれる人がいなければ、申請期間を過ぎてしまうといった場合もございます。それらの手当は、基本的に遡って受け取ることはできず、申請された月の分から支給されることがほとんどです。
私もホームページを確認いたしましたが、確かに山形市のホームページには制度について詳しく記載されておりますし、ハンドブック等での説明はなされておりました。これは私たちからすると、支援が充実して大変結構なことだと思いますが、目線を当事者の視点に移すと、制度を見ても申請の詳細な方法が長文にわたって記載され、所得制限や受給資格者の要件も頑張って全部読んでみたのに、実は受給対象ではなかったという場合もあるなど、自分から何か支援がないか、これを調べて申請するというのは、とても難しい場面があるかと思います。
よく、行政は何もしてくれないといった旨の発信がSNSにて話題になるときがありますが、しっかり調べると、申請すれば支援を受けられる制度も存在しています。要するに、支援は存在しているが、当事者がその支援を知らないという状況が発生しております。
今の二、三十代の若い子育て世代は、SNSから情報を得ている方も多いため、目に触れやすいよう市の公式SNSに投稿したり、また、市が子育てに有用な情報を発信するアカウントをつくりフォローを促すなど、さらなる周知徹底に取り組んではいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
(佐藤孝弘市長)
子育て支援制度につきましては、これまでも広報やまがたや市の公式ホームページ、パパママ応援!元気すくすくネット、また、子育てガイドのほか、公式LINE等のSNSや、おやこよりそいチャットやまがたなども活用し周知に努めております。
また、先月には、全ての妊婦・子育て世帯が安心して出産・子育てができるよう、より身近で気軽に相談支援を受けられるツールである、やまがた出産・子育てアプリを導入いたしました。このアプリを利用することにより、山形市が配信する地域の子育て情報の受け取りが可能となりました。
子育て支援制度の活用は、保護者の負担軽減と子供の健やかな育成につながることから、今後もSNSをはじめとする様々な手段により、子育て世帯が必要とする情報を、時期を逃さず適切に受け取ることができるよう、よりきめ細やかな情報発信と周知徹底に取り組んでまいります。
御回答の中にもございましたが、市の手当等の支援の受給資格者の母数、そして、それに対して実際に申請をしている人の数については把握されておりますでしょうか、お願いいたします。
(奥山泰子こども未来部長)
安久津優議員の質問にお答えいたします。
手当等でございますけれども、子供の手当といたしましては児童手当等がございますし、独り親の方の手当の場合ですと、児童扶養手当という形で様々な手当がございますが、主に児童手当のほうでよろしいでしょうか、そちらについてお答えさせていただきます。
児童手当につきましては、児童手当法に基づきまして、児童を監護し、かつ生計を同じくする父または母に対して、ゼロ歳から中学生まで支給される手当でございます。3歳未満につきましては1万5,000円、3歳以上小学生までの第1子から2子につきましては1万円、第3子以降につきましては1万5,000円、中学生につきましては1万円という手当になっているところでございます。
全体の受給者といたしましては、令和4年度につきましては1万5,034人で、うち特例給付につきましては542人となっているところでございます。
(奥山泰子こども未来部長)
こちらにつきましては、出産をした方について2週間以内に申請をいただくような形になっております。出生届を出された後に、医療給付の窓口がこども家庭支援課となっておりますので、出生届を出した際にこども家庭支援課においでいただく形で、申請を受け付けているところでございます。ですので、こちらについては、ほぼ皆様方が受け取っていらっしゃるのではないかと認識しているところでございます。
SNSにつきましても根拠が明確に示されていなかったり、また、補助額を最大の金額で大々的に示していたりと、手放しで称賛できるツールではございません。補助が受けられるとうたっていても、自治体によりけりであったり、また、条件が厳しいものもございます。制度を利用する当事者の目線に立ち、子育て世代が安心して情報を得られるよう、引き続き制度の周知のほどよろしくお願いいたします。
6つ目に、山形市における主要道路・交差点の愛称について質問をいたします。
モニターを御覧ください。
〔議場のディスプレーに画像を映す〕
こちらは、山形市の中心部の地図となっております。地図上を南北に通る黄土色の線は国道112号です。七日町を通って北上し、市役所に至る前に西に曲がり、クランクのような形で西に抜けていきます。なお、今年12月31日に閉館が予定されているホテルキャッスルのある十日町交差点から、自転車専用道の端である七日町交差点までの区間、ちょうど北へ自動車の一方通行となっている区間は、公式にほっとなる通りという愛称がつけられておりますが、この同区間に対して、七日町通り、文翔館通り、旧県庁通り、奥州街道などと呼ぶ方も一定数おり、愛称の定着には疑問が残ります。
ほっとなる通りの名称自体は、インターネット上で調べれば出てきますが、いつからその名称になったのか、どこからどこまでの区間がそう呼ばれているのかについては、検索してもすぐには出てこない状況です。
このような中、山形市では愛称がつけられている道路が少なく、人に場所や道を説明するとき、〇〇スーパーの通りのや、〇〇デンキの道を北上してといった商業施設や建物を起点とする場合が多いように感じております。大通りを想起させる国道何号という呼び名についても、先ほどの地図のようにクランク等でところどころ曲がっている場所があり、一本道ではありません。
モニターを御覧ください。
〔議場のディスプレーに画像を映す〕
こちらは、山形駅の南部の地図となっております。黄土色で地図上を東西に走っているのが国道286号と国道348号です。この国道は、ある交差点を境に名称が変わります。地図上の赤い矢印を境に、左側が国道348号、右側が国道286号です。地元では、数字をもじってニー・パー・ロク、サン・ヨン・パーなどと呼ばれておりますが、途中で国道の名称が変わることを知らなかったり、また、知っていても、どこが境なのか分からない人も一定数いると思われます。
また、この地図で黄緑色の矢印で示されている場所の名称を御存じでしょうか。
再度モニターを御覧ください。
こちらは、国道348号とJR奥羽本線が交差するアンダーパスの写真です。道路脇には美畑アンダーと記載があり、名称が分かります。しかし、地元でこのアンダーパスの正式名称を言える人は少なく、むしろ愛称の「ムーミン谷」と呼ばれ親しまれています。なぜ、「ムーミン谷」と呼ばれるようになったかについては諸説あり、真相を突き止めるには至らなかったため、今回は省略いたしますが、このように愛称があっても地図には載っていなかったり、また、道路の名前を言ってもどこのことだか伝えられなかったりという場面が多々ございます。
そこで、主要道路や交差点等に愛称を選定し、それらを浸透させるために道路愛称を地図に載せるべきだと考えます。
例えば、先ほどの地図で示した国道286号については、宮城県内で、仙台駅付近の愛宕上杉通や笹谷街道、秋保通などの名称がついています。お隣仙台市では、広瀬通、青葉通というJRや地下鉄の駅名にもなっている道路の愛称がございますが、これは1947年河北新報社の公募によりつけられました。その後、1981年から1982年にかけて仙台市が道路愛称命名事業を実施し、市民の応募の中から、有識者、報道機関、市民代表によって15もの道路の愛称を選定したそうでございます。
その後、仙台市は、1989年4月1日に政令指定都市に移行したため、道路愛称の選考の場を市から各区に移し、要望に基づいて、区長が地元住民を含む選考委員会などで協議し、郊外の道路にも愛称が選定されていくこととなりました。
また、道路から離れ鉄道に目を移すと、JR東日本でも奥羽本線という福島県の福島駅から青森県の青森駅に至る鉄道路線がございますが、この中で、福島駅から山形県の新庄駅までの区間は山形線という愛称がついております。ちなみに、これは1992年山形新幹線が開業し、福島駅から山形駅間の線路幅が狭軌から新幹線の通れる標準軌というものになった際に名づけられたものであります。
したがって、1999年に山形新幹線が新庄延伸となった際には、山形線の区間も新庄まで拡大されました。正式な路線名は奥羽本線でありますが、山形線はあくまで愛称でございます。しかし、時刻表に名称が記載されております。また、私は仙山線の車掌としての乗務経験がございますが、乗換え放送では自動放送、そして肉声放送ともに、山形線の愛称で案内をしておりました。このように、愛称を決めて終わりではなく、浸透を図ることで定着が期待できます。
地区の主要な道路や交差点に愛称をつける市民参加型の取組を行い、地域への愛着向上、そして選定の際の地域交流、これらの効果を期待した上で道路愛称の選定を実施してみてはいかがでしょうか、市長の御所見をお伺いいたします。
(佐藤孝弘市長)
山形市内におきましては、広く市民に認知されておりますシネマ通り、長源寺通りや青春通りなどをはじめとし、愛称を持つ多くの路線が地図アプリで確認できております。それらの愛称については、地区の歴史的な背景やその地区のシンボル的な存在をうたったものとして、市民に徐々に浸透してきたものと思われます。
議員御提案のとおり、市民自らが市道などへ愛称をつけることで地元への定着が深まるとともに、場所や道のイメージがしやすくなり、市民サービスの向上にもつながるものと考えます。
ただ、これも議員御指摘のとおり、いわゆるデファクトスタンダードのような形で浸透してくるものでございますので、名前をつければ使ってもらえるものではないということも認識しておりまして、まだ、そうした通りの名前が、通称がないようなところにいかに名をつけ普及させるかということについては、議員も御指摘のいろいろな事例なども研究しながら、これから考えてまいりたいと思います。
先ほど申し上げました仙台市についての事例では、公募による選定を行っておりましたが、私は山形市として地域での話合いを提案いたします。これについては、政治家に対して疑問を感じている方も市民の中には多数いらっしゃいます。選挙が終わってから、選挙結果が直接的に反映されているということを感じる場面はそう多くありません。今回の質問の趣旨からは少し外れますが、投票率が下がり続けている要因の一つに、自分の投票が反映されている実感がないということが挙げられるかと思います。
そこで、こうした道路の愛称、交差点の通称等を決める際に、まちとして、市議会議員、これは地域の代表としての側面が強い市議会議員がその話合いをリードすることで、自分の選挙の結果、また、思いが反映される機会をつくり、それが政治への関心向上にもつながるかと思います。そうした意味合いも含めまして、普及について御所見をお伺いいたします。
(佐藤孝弘市長)
決め方については、いろいろなやり方があろうかと思います。公募もそうでありますし、地域の方に話合いをしてもらって、その地域に最もふさわしいものを決めていただくというやり方もあろうかと思います。いずれにしましても、そうした手法の中で、一つに決めずに、何がよい方法なのかをまず検討して、そうした取組につなげられるかどうか取り組んでまいりたいと思います。
引き続きの御検討をお願いいたします。
先ほど、市民参加型の取組を行うことで地域への愛着向上、そして、選定の際の地域交流が期待できると申し上げましたが、議員が話合いをリードし、地図に載るという選定が行われることで、政治への関心向上も期待できると思いますので、引き続きの御検討をお願いいたします。道路の愛称についての質問を終わります。
また、先ほどより、山形市の観光について、幾つかの項目にて御質問させていただきましたが、おととい6月19日に放送された、外国人が行ってよかった都道府県を選ぶバラエティー番組では、ランキング形式で都道府県を順位づけしておりました。番組ではベスト20まで発表されておりましたが、山形県は残念ながら発表されたランキング入りできませんでした。
ちなみに、東北地方でベスト20に入ったのは、13位の青森県だけでした。比較的、日常で海外からお越しの観光客を山形市で目にすることが増えた気はしますが、ほかの都道府県に比べるとまだまだなようでございます。
選ばれた都道府県のランキングの要素・ポイントは3つありましたが、絶景と名所とグルメでした。また、上位5つの都道府県については、北海道、東京都、沖縄県、京都府、大阪府という、いずれも納得のランキングでございました。番組では、外国人が選ぶコンセプトではございましたが、日本人が選ぶランキングでもほぼ同じようなラインナップになるかと思います。
しかし、その中で3つの要素、山形市も決して負けることはないかと思います。山の断崖絶壁に立つ山寺の絶景、そして、先ほど市長からも御回答ございましたが、世界的に有名なスノーモンスターこと蔵王の樹氷という名所、そして日本に誇るラーメンとそばというグルメ、これだけでも上位の都道府県の要素に肩を並べるかと思います。
ただ、世の中に知られていない、たまに紹介されても隠された秘密の名所のような紹介のされ方になってしまっている状況であります。私は、山形市はわざと隠しているというわけではないと信じておりますので、引き続き県外・海外に向けた山形市の周知をお願いいたします。
多岐にわたり、丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございました。これからも市民目線、若者目線として、様々な制度の選定をお願いいたします。
これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。